夕方から新宿で、田坂広志さんの講演を見に行きました。
田坂さんは、ソフィアバンクというシンクタンクの代表をされている方で、
数年前から、田坂さんの出版物はほとんど読むようにしてました。
講演は、「ヘーゲルの弁証法が教える世界の本質・社会の未来」という少し堅めのテーマ
田坂さんが最も重要としてあげた弁証法の法則は、
「事物の螺旋的発展」 です。
物事が発展するときは、直線的に発展するのではなく、螺旋的に、あたかも螺旋階段を登るように発展していく。 これを上から眺めると分かるように、ぐるっと回って、元のところに戻り (原点に回帰し)、
しかし単に元のところでなく、必ず一段高い場所に戻ってくる。
たとえば、最近はやりの「オークション」はかつての「競り(せり)」であり、「逆オークション」は、
かつての「御用聞き」の発展版にあたります。
さらに言えば、
「E-ラーニング」は、かつての「寺子屋」の復活であり、
「電子メール」は、「文(ふみ)」の復活で、
「ナレッジコミュニティ」は、かつての「教えあい」の文化の復活となります。
このように、懐かしいものが便利になって復活しており、「未来進化」と「原点回帰」が
同時に起こっています。
かつては、この「螺旋的発展」には長い月日がかかり、歴史的考査に過ぎなかったが、
1周するのを目撃する時代が始めっています。
つまり、この法則をヒントに、企業が市場や社会の変化を予見することも可能である
役立てることができるということになります。
この「復活」を読むには、ステップとして、
@ 合理化、効率化の流れで、「消えていったもの」を見つけ、
A なぜ、消えていったのかを考える。
B 「消えていったもの」を新しい技術や方法で復活できないかを検討する。
田坂さんは、この「弁証法」ともうひとつ「複雑系」という哲学・思想を利用し、
未来の予見をされているそうです。
科学的な手法により、市場を分割、分析していく方法では、スピードの速い現代の社会・市場の大局を読むことは難しく、この弁証法といった、古典における物事の本質の洞察が、今日必要になってくるという講演でした。
「昔消えてしまったもので、今後復活するものは何か??」という問いで、今は頭がいっぱいです。