2006年04月30日

奇跡の経営  -- リカルド・セムラー --

5年ほど前、「世の中の問題はなんだ?」と自問自答したときに、
最初に思いついたのが「満員電車」でした。


朝の通勤ラッシュアワー、電車に詰め込まれる人々の姿は
異常であり、その中で痴漢行為をする最悪な奴もいる。

なんとかならないのか? 解決策としては、社会全体の
「通勤手段を変化させる」か「朝の通勤人口を減らす」
のどちらかだと考えつつ、1つの疑問にたどり着きました。


「そもそも、みんなが同じ時間に同じ場所に朝から集まる
必要があるのか?」
ネットワークテクノロジーが発達する中、必ずしもみなが
同じ場所・時間に集まらなくても仕事はできるのではないか。。

そんな中、本屋でまさに同じことを書いてある本を見つけました。 ひらめき


「さよなら満員電車、さよなら社内の悪口」


好きな時間に好きな場所で働くという「テレワーク」を
紹介した本でした。労働時間を強制したり作業空間を1か所に
集中させたりするのは一昔前の産業界の話で、特に頭脳労働に
不可欠なのは、最も効率よく働ける場所と時間を選べること
であるという内容でした。 

すっかりその考え方に共感し、これこそ自分が人生をかけて取り組んでいく問題だ!!と意気込んでいました。


しかしちょうどその時、コンサル会社から事業会社に転職し、
全国、全世界とメールや電話会議でコミュニケーションをとる
毎日を過ごすようになると考え方がまた一変しました。

複雑なビジネス、文化の問題を協議する際の、対面での
コミュニケーションを持つことの重要性を痛感しました。
やはり、どれだけテクノロジーは発達しても、
人は顔を向き合わせて仕事をしていないと円滑な意志の疎通は
難しいという結論に達しました。


そして、今回「奇跡の経営」という本に出会いました。

ブラジルのセムコという会社の取り組みを紹介した本で、
ずばり「コントロールをやめる」というものです。


組織の指揮命令系統をなくし、社員自らの自発的な裁量に
すべてを任せるやり方で、実際にこの会社は成功を収めています。

本書では、「一週間毎日が週末発想」という、仕事の時間と
プライベートの時間をうまく融合させ、仕事も私生活も満足させる新しいあり方を提唱しています。


たとえば、セムコ社では、


・ 組織階層がなく、公式の組織図が存在しない。
・ 標準作業、業務フローがない
・ 人事部がない
・ 経費を承認する人がいない
・ 作業員の監査・監視役がいない

セムコ社は、「コントロールをやめる」という原則を実施し、社員が自ら働きたいと思える職場し創造し、結果社員ひとりひとりがやりがいを感じ、活気づき、生産的になることで、会社の利益と成長をもたらすということを目指しています。実際、離職率も驚くほど低いそうです。


ラッシュアワーで仕事に行くのをやめて、他の人が働いてない
時間に仕事をしたり、メールチェックを日曜日にまとめてし、
月曜日の朝は静かに仕事をスタートし、午後は映画に出かける。
このような自由な時間の選択ができることが、人に内面的な
安らぎを与え、結果生産的な仕事を行うことができる。

これは、社員ひとりひとりは、一人前の大人であり、仕事を
完成させるために必要な時間、ふさわしい場所を最も理解し適切に判断できるいう信頼に基づいています。

自由な時間に自由な場所で仕事をできることは、理想的です。
自分が経営者の立場でも、社員が仕事でも精神面でも満足できる
環境を持たせてあげることは、是非できたらと思います。


一方、自分のこれまでの「サラリーマン」時代を振り返ると、
自分も含めて、社員は「できればさぼりたい」という
ネガティブな面ももっていると言わざるを得ないです。

だから、自由を与えるならば、その分厳しいパフォーマンスの
評価が必要であり、結局社員をしっかり管理していかなければ
ならないと思います。セムコ社の例は特異であって、
10人、20人の会社ならともかく、やはり社員数が50人を超えた
くらいからは、しっかり社員を管理をする仕組みが必要だ
というのが現時点での自分の考えです。


会社へのオーナー意識も持って働ける方のみ採用することができ、理想的な企業文化を形成できれば可能なのか?
難しそう もうやだ〜(悲しい顔)
posted by IZ at 01:00| 書籍