2006年11月29日

「坂の上の雲」  - 司馬遼太郎 -

内容は、日露戦争で大活躍した秋山好古(陸軍)と真之(海軍)兄弟の幼少期から日清戦争、そして日露戦争終結までを描いた作品です。 真之と俳人正岡子規は幼少からの友人で二人の野望・友情も描かれています。


この小説に描かれている戦時中の軍事戦略・人事を通じて、現在のビジネスシーンにも参考になるものが学べるはずです。
印象に残ったところをピックアップすると、


●「集中の自由は攻撃にある」 攻撃側は攻撃の重点を選び、その重点へ砲を集中させることができる。 逆に防御する側は、敵がど こから来てもいいように敵の三倍以上の兵力が要る。


 
戦略の本質が「選択と集中」であるとした場合、その選択権は攻撃側に常にあるということ。
とりあえず相手の出方を伺おうという受身でいることは、一見安全策に見えるが、リソースの活用という点では、リスクが大きいということです。



●「乃木軍官僚は、大戦略という高次元から、陸軍海軍という低次元へと問題を引き下げてしか、物事を言ったり、 考えてできなかった・・」



 
かの悪名高い旅順の二〇三高地攻略では、乃木大将の無能な戦略策定力と官僚主義的な考え方により、ものすごい多くの日本軍人が、あたかもロシア軍の射撃練習の的のようにされ、無念にも命を落とした。
組織のトップにある人は、その組織のことしか考えられないような低次元の思考しか持ち合わせない人
であってはならない。 組織はすべてリーダーの力量によって決まり、そのリーダーは、ハイレベルな視点で物事を見られる人でなければならないということです。



●「技術分野には素人・玄人の問題があるにしても、軍事(戦略)というものそのものは、素人・玄人というものはない。」


旅順の二〇三高地攻略では、乃木大将は、砲技術の専門家達の意見を聞きすぎて、なんの行動も出来なかった。 技術屋は、その分野の専門知識・経験はあるけれども、それは狭視的な見解であることが多い。 企業においても、ITなどの専門家に「それは無理ですねー」などと言われ、それをまともに受けて行動できないでいるマネージャーが少なくない。

専門家はうそをついている訳でないにしても、戦略的な行動を決める際は、技術的にどうこうは後で考えることにし、
大局を見据えた方向性を示し、トップダウンにて組織を動かしていく力量が必要ではないかということです。


他にも、いろいろ含蓄のあるシーンがあります。


大学院留学中に、"Competing through people" という人事戦略の授業を受けました。 

企業が最後に頼れるのは、金でも技術でもなく、「人」であるという教授の言葉を思い浮かべました。自分の会社も、いい人が集まってきてくれる組織にしていきたいと思いました。

posted by IZ at 00:11| 書籍