2007年11月26日

【ソフトバンク「常識外」の成功法則】 

元ソフトバンク社長室の三木氏が、社内視点から孫正義氏を描いた書籍です。

外部から見た大胆で即断即決的なイメージと異なり、膨大なシミュレーションを繰り返し意思決定するなど孫正義氏の実務の姿を垣間見ることができます。
タイトルだけ見ると、いかにも・・という感じを受けますが、読んでみると、現場で実際に事業を動かしていた人が、鋭い視点で孫正義氏を描いていて、経営の参考になるポイントが沢山ありました。

印象に残ったポイントを挙げると、

・プレゼンは、絵を多用する:
プレゼンテーションの目的が事業上の意思決定など、かなりの精神的エネルギーを必要とする行動を人に起こさせることならば、イメージを多用し、相手の右脳を刺激することが重要。

・不確実な状況下では、時間の許す限り意思決定しない:
状況変化の激しい業界や交渉において、ある選択肢に決めて残りの選択肢の可能性を早いうちに切り捨てることはリスクとして大きすぎる。(リアルオプション理論的な考え方)

・事業を急速に拡大するための社長の仕事はバランスを崩すこと:
社長が部下や社外の関係者の意見を総合して全員の合意を目指していくならば、縮小均衡に陥っていくばかり。社長自ら、全体のバランスを崩して拡大均衡へと導く必要がある。社長がいったんバランスを崩せば、部下は新たなバランスを取るべく拡大均衡を目指して急速に動き出す。

・事業のライフサイクルにあわせた社内のパワーバランスを取る:
サービスの導入期には営業部門を重視し、成長期にはオペレーション部門、成熟期には管理部門に重点を置く。ベンチャー企業の多くは、最後まで営業部門重視で走り続けて、事業を成長・成熟させることができずに破綻してしまうことが多い。

特に「社長の仕事はバランスを崩すこと」という点は、確かにそうだなと思います。組織がある程度の規模になると、各部門長は、業務を「うまく回すこと」を考え、他部門との「調整」を図るための妥協点を探るようになるのだと思います。そこに経営者も「調整役」として動くとなると、その時点から縮小均衡に向っていくのでしょう。事業の拡大を目指すのならば、トップが強引にでもそのバランスを崩す意思決定をする勇気が必要なのだと思います。

これまで、起業家としての孫正義氏の強烈な意志と行動力に漠然と凄いなあと感じてきましたが、経営の実務能力も卓越しているところにその成功の理由を見ました。孫正義氏のような巨大企業の経営者の立場にいなくとも、組織をマネージするビジネスパーソンにとって示唆に富むスト-リーが多数描かれていました。

快進撃を続けるソフトバンクの内側からみた孫正義氏の姿が興味深く一気に読みましたが、もう一度じっくりと読みたい1冊です。
posted by IZ at 01:40| 書籍