組織の一員である以上、必ずしも自分の得意分野、これまでの経験が活かせる領域で
チャンスが与えられるとは限りません。あなたは、これまで社内のWeb制作チームのリーダーをしてきました。
Webサイトが重要な販売チャネルの1つとなっている会社で、重要な役割を
しっかり とこなしてきたリーダーシップを買われ、あなたは今回新らたに
カスタマーサービス(CS)部の部長に抜擢されました。
売上も順調に伸びている会社で、今 後はCSの品質向上が経営上の課題ということで、
大きな期待の上の大抜擢でした。しかし、あまりにこれまで携わってきた仕事の分野と違うため、
仕事の勘ど ころも分からず、何から取り組んで良いのか分からない。
ジェネラリストにとって、全くの馴染みのない部門をいきなり任されることは
宿命なのかもれませんが、やはり慣れない分野で部下を持ってマネージメントしていくのは、
不安に感じるものです。
そこでまず部署の問題点の分を析したりする前に、1つのアプローチとして、
「ポジティブデビアンス」を探してみましょう。
「ポジティブデビアンス」とは、「いい意味で、例外的な存在」という意味です。
同じ環境で同じようにやっているはずなのに、例外的に他者よりうまくやっている人が
一人や二人はいるものです。 その例外的に成功している人を特定して、
その人の他の人とは違う行動や習慣を観察して、そこから学ぼうというアプローチです。
良い例から学ぼうという意味では「ペストプラクティス」という言葉 もありますが、
これが外部(他部署、他社、他業界)から学ぼうというのに対して、
「ポジティブデビアンス」は、内部で既に存在し得る、うまくいっている ケースを
探すことから始めます。
類似して、「ソリューションフォーカスアプローチ」とは、問題の原因追及に焦点を
当てる代わりに、解決志向で問題を解決していくアプローチですが、
これにも、 「例外」に焦点を向ける考えがあります。
問題は、「常に」起こっているわけではない。どんな時にどのような条件下では
問題が起こっていないか、その「例外」的 な状態を知ることで、「うまくいっている」状況を
増やしていこうとする解決アプローチです。
つまり、「例外」から解決策のヒントを得ようというものです。
一般的な問題解決アプローチから考えれば、例外的な状況(部分的な現象)を見て
解決策とするのには、違和感があるでしょう。 ただ、小さな改善へのステッ プを肯定的な
トーンで短期間に起こすならば、例外を見つけるこのアプローチが有効です。
新しい部署を任されて、力み過ぎて、トップダウンで的外れな解決策 を押しつける危険性より、
既に現場で成功してる例を見つけてボトムアップで展開していくことを促す方が、
最初のステップとしてははるかに効果的です。
そして、何よりもいい点は、これからマネージメントすることとなった現場で、
うまくいっている人(ポジティブバリアンス)とそうでない人との差に着目することは、
今後のその部署のリーダーにとって、とても有益な情報を得ることになるのです。
まずは、うまくいってることに着目し、それを増やすことで、部署のクオリティーを
ポジティブな雰囲気で上げていきましょう。