2012年06月23日

ミスコミュニケーション

プロジェクトで複数のメンバーと仕事をする際、多かれ少なからず、
ミスコミュニケーションが起こります。

これはなぜか?


それは、一人一人見えているものが違うからです。

そして、使う言葉1つ1つの持つ意味合いも、人それぞれだからです。


特にプロジェクトの最初の段階は、抽象的な言葉を使って、
コンセプトや目的などを話合い共有することが多くあります。
その時点で、既にミスコミュニケーションの原因が潜んでいます。


「地図は、領土ではない」
これは、一般意味論を提唱した、アルフレッドコージブスキーの言葉です。
地図というのが、物理的な領土(土地)を抽象化した概念であるように、
言葉も私たちの「体験」を一般化した概念の記号に過ぎません。
地図が領土そのものではないよう、たとえ同じ言葉を使っていても、
その背景にある体験は、一人一人異なります。

特に抽象的な言葉は要注意です。


だからこそ、プロジェクトの初期段階には、抽象的な内容と
具体的な話を行き来させ、意味するところを互いに確認し

共有することが大切になります。


さらに言えば、言葉どころが、人によって同じものを見ても、

体験そのものが異なります。つまり、見えているものが違うといいます。
これは比喩ではなくて、本当に脳科学的な実験でも確認されていることです。


実験では、ネコの視覚を調査します。縦シマしかない部屋でネコを育てると、

そのネコは縦シマしか見えなくなるそうです。
これは、脳内に縦シマに反応するニューロンだらけとなり、横シマに反応する
ニューロンが増えないからだそうです。 だから、この縦シマしか見えないネコの前に、

横向きにつっかえ棒を置いておくと、足元でつまずいて転んでしまうそうです。


最近物凄い勢いで本を出版されている脳機能学者の苫米地さんも、
その人にとって見えない部分を「スコトーマ」という言葉で説明されています。

人はその人にとって重要なものしか見えない。
自分に重要でないものは、盲点となり見えなくなってしまう。
 

これは、先のネコの例で考えてみると、ある期間偏った限られた
情報のみの環境にいると、それ以外の情報には意識が行かず

反応するニューロンが少なくなり、見えなくなってしまう。

これを、企業で考えると、同じ組織環境に長くいる社員は、
いつもの限られたものしか見えないという

恐ろしい現象が起るのかもしれません。

 

プロジェクトベースの仕事は、多様なバックグランドの人が集められて

始めることが多々あります。 使う言葉に対する意味合いの相違、

さらには、意識として見えている世界が違う人たちとの間で、

ミスコミュニケーションが起きる要因は大いに内在しています。

 

そのことを肝に銘じて、初期から理解の確認・共有を図ることが
大切なのだと思います。


posted by IZ at 00:52| コラム